迷宮から降りてきた声
ところでさぁ、と言って話始めることが多い。四六時中、手前味噌にて開催しているミュージックパーティーのことを考えている。仕事そっちのけで、昔から金の花が咲きそうにないことに水を撒いて。パーティーのあのソワソワ感、なんか知らんけれど、とんでもない瞬間に出会えた感、DJにゆだねた先に現れる、希望やら感謝やらつじつまが合わさったような入り乱れた高揚感。まあまあ、とにかくパーティーが大好きなのだ。いってしまえばバーベキューが大好きで炭を見るとソワソワしてしまうひとと、境遇は似ているのではないだろうか。
そういうわけで、パーティーの代名詞というか、つかみのキャッチコピーをあれこれ考えていた。例えばトランスミュージックのなかでもゴアトランスからサイケデリックトランス、さらにプログレッシブトランスなど微妙なサウンドの機微に呼び名があてがわれていて。自分が主催するチルアウトパーティーを、あえて盛り盛りに表現するならばと、天の声を日がな待っていたりする。
「プログレッシブってどうなの?言われて随分久しいけれど、とっくに進化しているじゃん!」
そうそう、ポストモダンとかね。みんな思いつくことは曖昧で一緒だ。テックハウスとかどっちやねんと思う派でもある。何でもディープつけたらええんかい!とか言えないもどかしさを抱えながら。
ところでさぁ、と降りてきたキャッチフレーズを声に出す。ヴァレアリック・ラヴィリンスってどうかなあ・・・。杯を交わす友人たちの目が沈黙のなかを泳いでいる。・・・それって、教祖っぽくねえ。
爆笑誕生。なんの宗教やねん。自由になるためのパーティーにどんな教えや説教がついてくるんだ。隙あらば鎌首もたげる、自己顕示欲のようなものを、音速ではたき落されることに快感すら覚えた。仲間はいつだってこちらの勝手な予想をプログレッシブに裏切ってくれる。